打ち上げ花火は真上に飛んでいきます。当たり前ですよね。
そんな当たり前が起こらなかった出来事の話です。その日は夏休みの終わりに近い日でした。
夏休みでは最後のキャンプになるということで、人の少ないキャンプ場でパーっと盛大に盛り上がろうと考え、さまざまな道具や遊び道具を揃えて行くことにしました。
私が持っていったものは「水鉄砲」でした。
それも最新の商品で、出力もそれなりのものでした。
持ってきた当初こそ若干馬鹿にされましたが、その威力の高さに驚いたメンバーによって若干サバイバルゲームっぽい方法で遊ぶことができました。
他のメンバーも思い思いの遊び道具を持ってきていました。
キャンプをしているのは私たちだけのようで、思う存分遊ぶことができました。
夕食のバーベキューが終わると、メンバー一人が万を辞して取り出したものが「打ち上げ花火」でした。
今まで花火は持ってきていたこともありましたが、打ち上げ花火は初めてでした。
持ってきていた花火のうち、それを立てる瓶が2本しかなかったので、2本をセットして打ち上げることにしました。
導火線に火をつけて全員で退避した後のことです。
足場が悪かったせいか、花火の一つが倒れ、もう一つの花火も一緒に倒れてしまいました。
そのまま花火は点火され、1本だけ飛び出しました。
向かった先は川で、まるでミサイルかのように一直線に飛び出した花火は川の上で炸裂、なかなかに綺麗でした。
問題はもう1本、不発かと思ったその花火は急に点火され、今度は真横に向かって飛んで行きました。
しかし、飛んでいった先が岩場であったため、石にぶつかっては進路を変え、こちらに向かってくる場面もありました。
なんとか避難した私たちの目の前で花火は炸裂、綺麗でしたがとても堪能する余裕はありませんでした。
残りの数本は見事に上空に打ち上げられましたが、私たちの手元には念のための水鉄砲が置かれていました。
飛んでくるミサイルを打ち落とす自信はありませんでしたが、無いよりはマシだと思ったのです。