釣ったばかりの魚は活きがよく、鮮度の良さで味も格段に良くなります。
私もキャンプでは魚釣りで食料を確保する役割を任されることが多く、その分多くの魚をサークルメンバーたちと一緒に食べてきました。
どの魚も大変美味でしたが、その中でも特に美味しいと感じた魚があります。
とある「ニジマス」です。
ニジマスは私が知る限り、春と秋に良く釣れます。晴れた日より、曇や小雨くらいが最もよく釣れるコンディションだと思います。
その日はゴールデンウィークを利用してのキャンプで、これを逃せば秋までニジマス釣りを楽しめないと考えていた私は、少し前まで小雨が降っていて今は曇りのこのベストコンディションを利用しない手は無いと思い、張り切って釣りを楽しむことにしました。
少し川の水が濁っていましたが、却って魚の数は多いと感じました。
早速釣り糸を垂らし始めて、短い時間で一気に多くの魚を釣り上げることに成功します。
その中には、目当てのニジマスも多くいました。
釣りを始めて数十分経った頃、今までとは少し異なる、強めの当たりが来ました。
大物がかかったと思ってすぐさま臨戦態勢に入り、予想通りに苦戦しながらも何とか釣り上げました。
そこにいたのは、大きさこそそこまで変わらないものの、どこか重厚感を感じるニジマスでした。
そのニジマスを釣り上げたのを機に、食料は十分だろうと考えてキャンプ地まで戻ることにしました。
夕食は魚と野菜でバーベキューです。
釣り上げた魚はどれも美味しく、アウトドアの雰囲気をさらに盛り上げてくれました。
その中に、一際良い味を出している魚がありました。
例のニジマスです。別の魚を食べているとまでは行きませんが、味の良さは今でも覚えています。
メンバー数人で回して食べましたが、誰もが絶賛する味でした。
これは大当たりだな、と思いながらバーベキューを続行します。
食事も終わってすっかり暗くなり、話も一通り終わったところで就寝です。
少し疲れていたので、すぐに眠りにつくことができました。
その夢の中に、例のニジマスが出てきました。
何か言いたそうにしていましたが、何を喋っているのかまでは分かりません。
ただ、何となく「感謝」されているような感じはしました。
夜が明けて目を覚まし、何人かのメンバーにそれを話すと、
「お前は美味そうに食べるから、魚が感謝したんじゃないのか?」
という感じで、異口同音の感想でした。
私としても、釣った魚に感謝されるのは悪い気がしなかったので、上機嫌で感想を聞いていました。